2009年6月9日火曜日

夏目漱石と就活

自分の講演を自分のブログに載せるのはなんだかおこがましいが、先日の就活コースで行った漱石の「夢十夜」の講演は予想以上に好評だったので、掲載しておきたい。


文学は就職にもビジネスにも最強の学問の一つだと分かるのではないだろうか。



■mp就活コース「自分の軸を確かめよう」(1/7)2009.6.4




■mp就活コース「自分の軸を確かめよう」(2/7)2009.6.4




■mp就活コース「自分の軸を確かめよう」(3/7)2009.6.4




■mp就活コース「自分の軸を確かめよう」(4/7)2009.6.4




■mp就活コース「自分の軸を確かめよう」(5/7)2009.6.4




■mp就活コース「自分の軸を確かめよう」(6/7)2009.6.4




■mp就活コース「自分の軸を確かめよう」(7/7)2009.6.4

2009年6月6日土曜日

レジュメ改変

堤君たちの熱心な呼びかけで、第21回読書合宿・福田恒存の参加者が30名を超える見込みとなった。


参加者は読書合宿はもちろん、近現代、マネー塾、BCの経験もない学生が大半だ。


「唯物史観」から始まる去年のレジュメではかなり難解だろう。


ということで、全部書き直すことにした。


こういう無茶な作業が入ると、またもやいいパソコンを買ったものだと実感する。


動画を編集しながら、アップロードしながら、レジュメも作れるなんて。


しかし、山岡君のアングルは本当に上手だ。


私は収録現場にいたわけではないが、山岡君が友達の魅力を引き出し、姿をとどめようと、あれこれ考えながらカメラを扱う様子が目に浮かぶようだ。


昨日も、立ったまま2台のカメラを操るという難しい仕事をお願いしたのに、難なくこなしてしまった。


mp6の総合ディレクターとして、全国の卒業生に感動を届ける大役を果たしてくれそうだ。


みんな、呼びかけ、勉強、就活、友達のサポートを必死に頑張っている。


私ももう一息、頑張ろう。

2009年6月4日木曜日

近現代の講義

これまでに学生の前で何百回の講義をしてきただろうか。


私は座って話すよりも立って話すほうが好きだし、座談よりも演説の方が得意だとも思っている。


これまで経営者、社会人、主婦、子供、学生…いろいろな人たちの前で話してきたが、ほとんど緊張しない性格なので、前に立って頭が真っ白になったことなど、記憶がない。


一番緊張したのは、韓国の教育セミナーに参加した時、朴槿惠氏(朴正煕元大統領の長女)の前でスピーチした時だが、あの時も韓国語でスラスラと話せた。


私は前に立って、聴衆の反応や表情をゆっくりと確かめ、スピーチ自体を共同作業として一緒に作っていく過程が好きだ。


しかし、その例外がただ一つだけあることに最近は気付き始めた。


毎週水曜にやっている近現代史勉強会の講義は、話し始めると自分でも止まらなくなってしまうのである。


近現代だけは、座ったまま話しているのであるが、それが止まらない。


別に緊張しているのでもないし、ましてや、内容が覚束ないなどということでもない。


近現代の内容は、スピーチ塾やマネー塾以上に深く記憶しているし、私の20代の空き時間は、ほぼこういう勉強に投じられてきたために、緊張するような理解度ではないと思っている。


私はこの勉強会だけが唯一、言葉や語調を選ばなくて良い勉強会だと思っているためか、近現代で話していると、逆にいつもは案外気を遣っているのかと感じるほどだ。


もちろん、その気の遣い方とは、学生だから実社会の予備知識がないだろう、という気遣いでもあるが、それ以上に、育ちの悪い私が時折発する、調子の厳しい言葉に対する自制である。


それが、近現代では、何の遠慮も制約もなく、のびのびと話すことができる。


学生たちはどう思っているか知らないが、私は近現代が一番気楽で落ち着く。


それは何も、手を抜いているとか、土曜と水曜だけが私服で息抜きができるなどという意味ではなく、本当に語り合いたいことを語り合い、言いたいこと、伝えたいことを悔いなく話すことができて、幸せだということである。


だとすれば、私たち日本人は日頃、どれだけ相手の反応や表情を無意識のうちに観察しあい、知らないところで気疲れしているのだろうか。


もちろん、社交の範囲での遠慮や妥協はこの限りではないが、思い切って伸び伸びと語り合える場が得られないことは、時として閉塞感や徒労感を招く。


私は自分が率先して大胆に問題に切り込むことで、学生たちに、「ここは、ここまで話していい場なんだよ」ということを伝えたい。


国家、家族、人生、人間愛、歴史、学問なんて、学生同士でいて、まともに長時間、深く語り合うことがあるだろうか。


学生たちだって、本当はそんな真面目なテーマで、思いっきり語りあってみたいと思っているはずだ。


どれくらい「思いっきり」かというと、近現代から将来の夫婦やカップルが生まれるくらい、ここでは深い話題が分かち合われるようになればと思う。


人間の相互理解や相互尊敬は、結局、何をどう共有するかで決まるのだ。


だとしたら、歴史以上に人間そのものと、それを語る人の人格を表現する素材はないと思う。


近現代で読む文献は貴重で、私は何百万投じてきたか分からないが、それさえほぼ無料で提供して惜しくないのは、こんな立派な若者たちと一緒に学べる喜びは、いくらお金を積んでも買えないからだ。


文献以上に、一緒に学べる仲間こそ最高の財産だと思う。


同年代にそんな仲間が二十名前後いる学生たちは、ちょっと恩着せがましいが、本当に幸せ者だと思う。



ということで、私はいつも学生に「相手の存在を思うことが大切だ」と偉そうなことを言っているのだが、こと近現代に関しては、実はあまり相手の顔が見えていなかった気がしてきた。


それくらい、この話題を分かち合えるのが嬉しくて楽しいのだが、学生はどう思っているだろうか。


「楽しそうな小島さんを見るのも嬉しい」などと言う奇特な学生はいないだろうが、立場的に批判や忠告は受けにくいので、自分で観察して適応していくのも必要だと、今日の講義が終わってから感じた。


来週からは、学生の反応も見つつ、さらに良い講義を作っていきたいものだ。

2009年5月31日日曜日

中年の思索のために

今日は夕方から隈本さんと二人で「海釣り塾」。


釣れに釣れた。


明日の営業塾では、満足な報告ができそうだ。


今日、もし、平島君が一緒にいたら、時間を忘れて釣りまくっていただろう。


…が、平島君は今、骨折中だ。去年は竿、今年は手首。


早く良くなってもらって、またみんなで釣りに行きたいものだ。




























今日はFUNの福岡OB会で「トップセールス研究会」を開いて、卒業生と実務や営業の話ができるのが本当に嬉しかった。
今までずっと夢見てきたことではあったが、ここまで嬉しいとは。
全国の卒業生にも、このレジュメを送ってあげよう。
そしてみんな、営業で、コノシロ(今日釣った魚)のように狙った魚を釣りまくってほしい。
諌山君、増田君が帰省した時、また一緒に釣りに行けたらどれだけ楽しいだろうか。

2009年5月28日木曜日

内定者インタビュー(損害保険)

ビデオ2台で切り替えを使ってみた。

なかなか大変だが、今後も練習して、臨場感を出す工夫を考えたい。

アングルは山岡君が研究しているようなので、山岡君の内定後は、一緒に動画の勉強をしたいものだ。


こちらは昨日収録された原さんのインタビュー。

原さんのおっとりした包容感は、損保にぴったりだ。


■mai room No.2 【損害保険】 (1/2)




■mai room No.2 【損害保険】 (2/2)




こちらはトップバッターの上村君。

この素直さと思い切りの良さを、会社の人は評価したのだろう。

原さんと上村君、どちらもしっかりと自分という人間を持っている若者だ。


■mai room No.1 【生命保険】 (1/3)




■mai room No.1 【生命保険】 (2/3)





■mai room No.1 【生命保険】 (3/3)

2009年5月27日水曜日

産経抄に思う

年を取るにつれて、睡眠時間の少なさがきつくなる。


だからここ一、二年はまず、眠い時に寝るという、私には苦手な習慣を身に付けようと、疲れて帰ったら早めに寝るようにしている。


20代は昼寝と早寝には罪の意識が強かったが、それも体力あってこそで、最近は2時間立ちっぱなしの講義を毎日連続でやっていて、声も枯れるし、やや疲れを感じるようになった。


もっとも、マラソンや柔道で鍛えてきただけに、学生に体力で負けるつもりは全然ないが、睡眠の浅さは講義中のアドリブに響く。


ということで、早く寝るのだが、家の近くは暴走族がたまに大音響で走り、この付近は高層マンションが多いので、音が反響してすごい。


だから、時折、夜中に目が覚める。


そんな時はPCを立ち上げて、ちょこちょこと作業をし、また寝る。


そして、3時半を過ぎていたら、「産経抄」を必ず読む。


時折「外したな」と思うこともあるが、このコラムは先代の石井論説委員の頃から好きなコラムで、導入からどう展開していくかが楽しみだ。


産経は大新聞の中にあって部数は少ないが、論調がはっきりしていて好ましい。


私が特に気に入っているのは「昭和正論座」で、私が昔から好きだった論客の懐かしいエッセイ、知らないエッセイがあって、彼らの先見性に驚く。


『昭和正論座』



しかし、今日の話題は産経抄だ。


産経抄には、小泉信三や福田恒存といった名前が数年に一度、出る。


「文化委員の私の一冊」などは「昭和の精神史」などを紹介していて、ひそかに嬉しかった。


学生たちに毎年、近現代史勉強会で紹介している作品、作家が出ると、こんな新聞の存在が嬉しくなる。


さて、今朝の最新の産経抄には、清水幾太郎の名が出ていた。



つい先日、近現代で「戦後を疑う」を読み、その時に「日本よ国家たれ」を少し紹介したばかりだった。


本コラムは最後に「昭和は遠くなりにけり」と結んでいるが、私もどちらかというと、そう感じることもある。


まだ33歳なのだが、最近の論客よりは清水幾太郎、福田恒存、小泉信三、竹山道雄、田中耕太郎…という名前に親近感を覚える。


きっと、時代錯誤なのだろう。


しかし、私は新しいものばかり追い続けるのが、本当の時代錯誤だと思うし、時流に迎合して永続性を持ち得ない論説も、ある意味時代錯誤だと思う。


絶版となってしまった作品の、魂を込めた評論を読むと、今は何度も読むに堪える評論や、時事問題を扱いながら時代を超越した「古典」的な評論が少ないのが退屈だ。


何より、「評論家」という職業が軽視されているのは、物事を早く、浅く、手短に分かろうとする風潮の悪弊だろう。


評論を軽視する風潮自体、評論という言葉を評論できていないという証拠だ。


私は経営者なので、ITや経営手法の最新事情にも興味があるが、それらは手段に過ぎない。


学生たちとは、いずれ幹を支える根っこの部分をしっかりと勉強していきたい。

2009年5月26日火曜日

FUN名著リスト

FUNでは一体、何冊の本を紹介してきたのだろうか。

最近はmai placeの新HPリニューアル作業の準備で、PCのデータの大規模な整理・統合を行っているので、色々と懐かしい資料が出てくる。

その中で次々に出てくるのが、未発表のレジュメやメルマガに加え、過去に紹介した本のデータだ。

私は株式投資のように古本を買い集めてきたから、自宅には大学教授の何倍もの蔵書がある。

その全てを紹介できるわけではないが、縁あって学生と出会ってからは、学生に読んでほしい本は、惜しまず紹介してきた。

様々な形式で紹介してきたが、今後の分かりやすいDB化のためにも、一通りのリストを作ってみようと、先週、作業の空き時間にコツコツと作ってみた。

その数、なんと…1,247冊

やや重複もあるから若干少なくはなるだろうが、とても4年で読める量ではないだろう。

しかし、人によって興味も違うので、古本を探す一つの手がかりとしては、役立つと思った。

そこで、FUNの学生にこのリストをプレゼントすることにした。

大月さんに頼んでメールを配信してもらうと、週末に早速数名から応募が来た。

嬉しいことだ。

いずれ全てに写真を付け、さらに詳細な分類を加えて、FUNとmpのHPに掲載したい。

今週は、卒業生にも送ろう。

2009年5月25日月曜日

ビジネスモデル塾④

大月舞の『ビジネスモデル塾』④


先週はFCビジネスについての講義だった。


毎年思うことだが、業界・業種・商品ではなく、収益モデルを基準に就活や取材をする学生が増えてほしい。


秋までに30本。頑張ってほしい。


■「フランチャイズビジネス」(1/4)




■「フランチャイズビジネス」(2/4)




■「フランチャイズビジネス」(3/4)




■「フランチャイズビジネス」(4/4)

2009年5月24日日曜日

指揮者

昨日のFUNゼミ「名作塾」では、「自分の感性を信じること」について話した。


ちょっと再現してみれば…



~若い頃には自分の好きなものを好きと信じ抜くことができず、周囲の人たちが好きなものを好きになれないと葛藤を抱くこともあるだろう。


また、周囲の人たちが好きでないものを好きである自分の孤独に耐えかねる時もあるだろう。


孤独に耐えかねるあまり、人が好きなものに無理して合わせようとして、自分を偽ることもあるかもしれない。


しかし、本当の感性はそうして孤独に耐え抜き、好きなものを好きと感じ続けることから生まれるのではないか。


このFUNにも、自分ではずっとそれが好きだが、それをなかなか人に言えない思いに苦しんできた学生がいるかもしれない。


だが、FUNは好きなものを好きと信じ、話し、共感しあえるサークルにしよう。~



これだけではないが、まぁ、こんな感じのことを話した。


終了後、最近入部したばかりの金山君がつかつかと歩み寄ってきた。


どうしても、言いたいことがあるような表情だ。



金山 「僕、高校の時からずっとクラシックが好きなんです。中でも、オーケストラの指揮者が大好きなんです」


私 「へぇ、それは素晴らしい。指揮者っていうと、フルトヴェングラーとか?」


金山 「フルトヴェングラー!?知ってるんですか!…僕、ずっとクラシックを聞いてて、高校の時、それを友達に言っても、何の興味も示されませんでした。


大学に入って、クラシック愛好会なんかを探したけど何もなくて、いつもヨドバシカメラや天神のレコード店で名盤を聴いてるんです。」


これから、金山君は堰を切ったように、クラシックへの愛情と強い思いを40分近く語り出した。


目は生き生きと輝き、山田さんと大月さんと一緒に聞いていたのだが、本当に、心からクラシックと指揮者を愛しているという気持ちが伝わってきて、本当に嬉しそうだった。


大月さんは最近、テレビでカルロス・クライバーの番組を見て、「指揮者ってすごい!」と感動していた。


私は父の影響でフルトヴェングラーやカラヤンが好きだが、金山君の知識はとても豊富で、詳しい話にはついていけなかったが、芸術的感性は通じるものを感じて、とても嬉しくなった。


それは、私がひそかに好きなクラシックを好きな学生に出会えた喜びというよりも、ずっと好きなものを抱き続け、一人コツコツと愛情を育てている若者にまた一人出会えた喜びだった。



私は五歳の誕生日に、父から指揮棒をプレゼントされた。


父は九州交響楽団に所属していて、仕事そっちのけでオペラやクラシックにはまりこんでいた。


子供の頃から、私は父の膝の上で、音楽を聴きながら、チャイコフスキーやシューベルトの伝記をずっと話してもらった。


ベートーベン、ブラームス、モーツァルト、バッハ…延々と、何日間も聴き続けた。


父は息子の私に何かを託すように、ずっとずっとクラシックを聴かせ続けた。


軽くウィスキーを飲んでレコード盤に向かう時の父は、子供の私にも、本当に幸せそうに見えたものだ。


父は指揮棒(タクト)を何本か持っていたが、感情が高ぶってくると、目をつぶってタクトを振り、完全に一人の世界に入って酩酊状態となっていった。


「大きくなったら、指揮者になってほしい」。


「音楽家は、全てを手に入れることができるんだ」。


父の口癖だった。



母はシャンソンやカンツォーネが好きだったから、シャルル・トレネやリュシェンヌ・ボワイエ、アダモ、ジルベール・ベコー、エディット・ピアフや、ディ・ステファノをずっと聴かせてくれた。


私の母はピアニスト兼バイオリニストだから、リストやショパンなどは、何百回聞いたか分からない。


私の携帯の着メロは、あまり鳴らさないが、リストの「愛の夢」だ。


五歳の誕生日に指揮棒をもらった私は、もちろん、それがあまり嬉しくなかった。


四歳の弟は「プラレール」だったからだ。


ちなみに、私が四歳の時の誕生日プレゼントは「鳩時計」だった。


天神で鳩が飛び出してくる時計を見て、店で時計をひっくり返してあれこれ眺め続けた私を覚えてくれていた父が、贈ってくれたのだ。


もちろん、それも嬉しくなかった。


時計にしろタクトにしろ、4、5歳の子供には何の魅力も実用性もなく、「えぇ?」と思ったものである。


その意味が分かってきたのは、中学生の時くらいだ。


タクトは父の形見だから、私はその意味をずっと考え続けた。


「大きくなったら、指揮者になってほしい」。


もちろん、私には楽器を演奏する技術などない。


中学まではピアノを弾いていたが、それとて本格的なものではなく営業用で、高校から大学にかけてはギターをやったが、クラシカルロック中心だ。


私は音楽よりも、当時はゲーム、そして戯曲が好きだった。


といっても、大衆的な人気作ではなく、クラシカルなゲームやスペースオペラ風のRPGで、ゲームが好きな人でも、あまり知らないような作品ばかりだ。


ゲームそのものよりも、ゲームの世界観やシナリオ、音楽が好きで、特にファルコムの「イース」シリーズが好きだった。


ずっとその音楽をつけっぱなしにしていて、母が「もう煉らんと?」と部屋に来た。


「いや、音楽聴いてただけ」。


母はちょっと驚いて、「へぇ、シュトラウス風やね」と言った。


わが家はこんな会話が日常的だったから、これは母の普通の返事だったが、私もそれに驚いて、「へぇ、これはシュトラウス風なのか…言われてみれば、皇帝円舞曲っぽいな」などと思ったりした。


ファルコムだけでなく、セガやタイトーも、ほかにはエニックスやスクウェアも、社内楽団を持っている。


そのアーティストたちは、「たかがゲーム音楽」だが、本当に幸せそうにゲームの世界観に浸っていた。


市販用ゲームではFM音源やビープ音、MIDI音源だけだが、楽団ではあらゆる楽器を使える。


そこに彼らが本当に表現したい世界があった。


クラシックのように高尚で優雅ではないが、当時の私には、そんな人たちが本当にいい仕事をしていると思えたものだ。


世間には知られず、マニア扱いされているが、この人たちは自分のやっている仕事が何なのかを分かっているのだろうと好ましかった。


私は「会計塾」でいつも話しているように、企業経営者も指揮者だと思っている。


経営資源や仲間の力を組み合わせて引き出し、社会に壮大なビジネス・オーケストラを奏でるのが社長の仕事だ。


私はそういうふうに考えているから、レジュメを作るときは、その世界観を作るインスピレーションを得ようと、よくクラシックやその他の音楽を聴く。


講義もオーケストラのようなものだと思っている。


講義のテーマは様々だが、私は私の世界観を表現し、ここに一人でも多くの観客を呼び込んで、観客から演奏者に変えていきたい。


楽曲の題目は仕事、就職、人生、学問、事業、経営などといったもので、私はその指揮者だ。


こういう形ではあるが、私も少しだけ父の遺志を実現できているようで、ひそかにそれが心の支えである。



だから、昨日、金山君が嬉しそうにクラシックについて語り始めた時は、こんな記憶がじんわりと蘇ってきて、とても愉快だった。


年齢はずいぶん離れてしまったが、金山君も私のように、というより私以上に、クラシック音楽に対する情熱をひそかに保ち続けてきたのだろう。


実に頼もしい若者が入部してくれたものだ。有り難いし、嬉しいことだ。


諌山君や増田君があの場にいたら、きっと、昼食を忘れて語り合っていただろう。


FUNは将来、様々な分野で活躍する未来の指揮者
を育てるサークルだ。


そのために、大工道具ならぬ、感性と知識という自分の楽器を磨き続けている若者がまた一人増えた。


本当に仕合せな時間だった。



■Strauss - Unter Donner und Blitz - Karajan(カラヤン)




■Furtwangler on 4.19.1942 Full edition(フルトヴェングラー)




■Carlos Kleiber -Beethoven symphony No.7, Op.92 : mov.1(1)(カルロス・クライバー)

2009年5月22日金曜日

大月舞のビジネスモデル塾

大月さんも最近、Video Studioを練習中だ。


自分で自分の映像を編集するのは照れくさいかもしれないが、スピーチの練習にもなると思って、毎週コツコツ作っているようだ。


こちらは先週の「デル」。


秋の就活コース2011開始時には、約30本のビジネスモデル塾がアップされている予定だ。


■ビジネスモデル塾③「ダイレクトモデル」(1/3)




■ビジネスモデル塾③「ダイレクトモデル」(2/3)




■ビジネスモデル塾③「ダイレクトモデル」(3/3)





デルのオンラインショッピングを体験してみたいと思ったら、こちらを見てみてほしい。

2009年5月21日木曜日

ドトールの思い出

今日の近現代は西南で開催された。


ちょっと早く西新に着いて、庵道珈琲に行った。


実は、ドトールが閉店したことを忘れてそのままドトール方面に自然に歩いたのだったが、行ってみて、「そっか、閉店したんだっけ」と改めて思い出した。


あれだけ長く、何度も通ったお店だっただけに、体が勝手にドトールに向かったようである。


旧西新ドトールで最後にやったBCでは、永井君と同じ班だった。


そこで塾の面白い体験談を聞いた。



永井君の話では、成績が伸びる生徒さんは素直で、そうでない生徒は、試験直前の授業をさぼったり、急に自分で勉強すると言い出したりするとのことだった。


塾は生徒が一人ではできない勉強の場を提供し、成績を高める場所だ。


そこで教える先生たちはもちろん、生徒の何倍もの知識と経験を持っている。


だから、試験が不安であればあるほど、塾に頼るのが当然だろう。


ところが、伸びない生徒はそうは考えないらしいのである。



「分かってないなぁ、と思います」


永井君が残念そうにそう言った時、私は毎年の就活コースで落ち続けて来なくなる学生のことを思った。


就活コースは就職の塾のような場所だが、やはり結果を出す学生は、とにかく欠席しない。


面接対策も、自分の志望業界や興味のある業界ならやるという態度ではなく、とにかく全部来る。


そして、私や大月さんが「大事」だと言う読書合宿や講座にも出席する。


面接は何も「就活で一夜漬け」のようなアクロバットではなく、平素の学生を確認する場にすぎないので、受かる学生ほど、「就活だから」、「面接だから」などという動機付けはしない。


就活を理由に他のことに手を抜く自分が嫌で、就活だけでなく、授業もバイトも頑張っている。


就活だからといって、何も特別なことはないのだ。



もちろん、今までの学生生活と違って「企業」というものと向き合うし、未経験の作業もいくらかあるため、最初はそれなりに緊張して不安も抱くが、だからといって迷ったりはしない。


経験者や先輩のアドバイスも素直に聞くし、聞いて勉強になると思えばすぐに取り入れ、真似する。


一方、落ち続ける学生は気分が乗らなければ来ないし、欠席した回に既に話していたことを、一ヶ月くらい遅れて質問してくる。


相手は小学生や中学生ではないのだ。


大学生だ。



私は、欠席して大事な回を聞き逃してほしくないから、いっそのこと「おまえ、絶対休むなよ!」と言おうと思ったことは、それこそ何十回もあるが、大学生相手にそこまで言うのはどうかと思って、言葉を飲み込む。


来た時はそれなりに感動している。


だから次も来てくれるか、と期待する。


しかし、来ない。


また来る時は、「持ち駒ゼロになりました…」。


「分かってないなぁ」


と思わずにはいられない。



しかし私は、FUNでもmai placeでも強制はしない。


強制すれば来させる自信もあるし、来ないことへの恐怖感を煽るのも簡単だ。


しかし、私はそんなのは嫌だ。


私の方にも、ずっと行き続けて学ぶ価値のある講義はできていないのかもしれない、と反省材料を持っておくのは大切だと思うし、自然に全員が来続けるようになるまで自分を高める努力もしたい。


しかし、それにしても、このままじゃ受かりっこないと分かりきっている学生を見ていて、「絶対来い!」と言えないのはもどかしい。



mai placeは仕事だ。


仕事なら、預かったお客様の結果を出すのは当然だ。


だが、受からない学生に限って、自分は能力があるし、案外捨てたものじゃないと思っていたりするのだ。


そういう学生ほど、「今度、面接対策しようか?」と持ちかけると「来週、いとこの子供が遊びに来るんで…」などと言う。


分かってない。



まぁ、本人にとっては、「いつでもできること」と「今やらなければならないこと」の区別の基準は、そんなものなのだろう。


そう思えば、危機感が低いことにも頷ける。


しかし、「じゃあ、面接が不安とか言うな」とも思う。


そこに質問できる人がいて、そこに使える時間的余裕があって、そこに既に内定した人がいて、そこに必要な対策が打てる機会があって、どうしてそれを選択せず、「不安」だと言うのだろうか。


いつもテレビゲームをやっている人間が、「入試が不安なんです」と言っているようなものではないか。



私は人格を尊重する人間だ。


相手の人生観を強制的に変えてまでサービスを提供しようとは思わない。


だから、ほぼ無料の就活コースと有料の新人コースではかなりの格差を設けている。


別に500円だから手を抜くなどということはしないが、就活コースでは教えられないことがあるのだ。


来たり休んだりの学生と、ずっと来続ける学生とでは、教えられることが違うのだ。


そんなのは、野球部もサッカー部も一緒ではないか。



最近はさりげなく個別フォローの機会を作ってみたり、就活の目的別対策を考えたりして、少しずつ接点を作っているが、なんとももどかしい限りだ。


学校なら「成績が悪い奴は居残って補習だ」と言えば済むのだろう。


しかし、大した成長もないまま、再度面接に臨む学生たちを見るのはかわいそうだ。



悲しいが、私の面接の予測はよく当たる。


私が心配しているのは、結果が出ていない学生以上に、「出そうにない学生」だ。


どこにも頼るところがなくなって、mai placeに来てくれたのだろう。


そう考えれば、有り難いことではないか。


明日は大月さんとmp6にこのことを話してみよう。



ちなみに、ドトールのBCでは植村さんも一緒だった。


そこでは、植村さんの子供の頃の話を聞いた。


なんでも、子供会の遠足か何かで、切符代をちょろまかす大人がいたらしいのだ。


その日の文献は「みあと志たひて」の『責任観念の権化』だったので、欧米人と日本人の責任感を比べて語り合っていたのだが、「今も日本は変わらないのかな」とちょっと寂しげな語り口だった。



そんな植村さんの話から、私の昔の地元で、永井君が今住んでいる場所とも近いJR天拝山駅の話になった。


あの駅は、今はどうか知らないが、私が住んでいた当時は、夜8時くらいになると無人駅になっていた。


私は二日市で降りていたのだが、夜は無人になるからと、わざわざ天拝山駅で降りている知人がいた。


それで片道約100円、月に数千円くらい得しているらしい。


博多よりもっと遠い場所から来て降りれば、確かに目先の「得」は増えるだろう。


「ちょっと余計に歩くことさえ我慢すれば、得するんだぜ」。


とか言っていた。



しかし、そいつは多重債務者になった。


正規料金をケチるような奴がどれだけキセル行為で得したところで、所詮その程度の金銭感覚では、貯金すらできまい。


あの時キセルでケチったお金だって、どうせその後、缶ジュースにでもなったのだろう。


その後どうなったか知らないが、数百円の欲による損失は、その後何倍になったのだろうか。


ふと、そんなことを考えた。



就活でも、キセル乗車に似たようなことをやる学生もいる。


正当な負担なく、他人の経験の残りかすをうまく組み合わせてのその場しのぎを、さも「昔からそうでした」と言うような連中だ。


内定したらさっさと友達を見捨てるような学生が、どうして「私の長所は、感謝の気持ちを忘れないことです」などと言うのだろうか。


こういう連中も、いずれ多重債務者かそれに近い存在になるだろう。



私はmai placeに来てくれた学生からは、そんな若者を出したくない。


だからこそ、仕事や会社を真剣に学ぼうと言い続けている。


が、聞いてくれない学生もいる。


学生と、どの程度の線引きで接するべきか。


近現代の深い学びを通じて接する学生たちの姿があまりに素晴らしいだけに、最近は改めて、そんなことを考える。

2009年5月19日火曜日

3DCG



水木金土日月と講義が続いてきて、今日は久しぶりの休みだった。


ということで、今日は一日中shadeの練習をした。


前々からゆっくり時間を取って練習したかったので、今日は身近なものから作ってみようと、携帯電話を作ってみた。



が、なかなか難しい…。


イラストレータのような2Dなら簡単に作れる題材が、3Dになると、いちいち座標や方向を気にしないといけない。


二、三時間やっていて慣れたが、身の回りの物体の裏にX、Y、Zのマニピュレータが見えてくるようだ。


夜は車を作ってみようと思うのだが、こちらはガラスやゴムなどもあるので、携帯電話よりもずっと複雑だろう。


いざ自分で作ってみて、shade explorerでプロの作品のサンプルを見てみると、やっぱりすごい。


CGの人間は無機質な感じがしていたが、それでもプロはよく人間を見ている。


今日ほどじっくり、ゆっくり、携帯を見た日があっただろうか。


小林秀雄の「美を求める心」を思い出さずにはいられなかった。


弟が建設業なので、建造物や工業品のデザインは少しなじみがあるのだが、それにしても、作る側になると本当に大変だ。


永井君も来年からは、自動車のエンジンで様々なシミュレーションをやっていくのかもしれない。


私は工業品やゲームなど、このソフトの主要な目的物を作ることはあまりないだろうが、練習には精密機械がもってこいだと思った。


まだ、手の中にマウスがある気がする。


私はファイナルファンタジーのような映像を作って、職業教育の映画みたいなものを手がけたい。



3DCGを作っていると、魅力的な背景を設定したくなるものだ。


shadeと同じ会社が作っている「Vue」が欲しいのだが、私のような素人にはまだまだ高いので、


terragen 2


をダウンロードして使ってみた(使い方)。


こちらは壮大な自然を作るソフトだ。


全部英語だが、こちらも勉強になる。


mai placeのオリジナル映画を作れたら、どれだけ販促に役立つだろうかと思っている。



最近、ネットブックの強化に余念がない山岡君のために、いくつかソフトを紹介しておきたい。


もう知っているかもしれないが…。


無料3DCGソフトの「メタセコイア」と「ブレンダー」のサイトだ。


■metasequoia ダウンロードサイト
(無償版LE R2.4)


■メタセコイアの使用方法


■blender ダウンロードサイト



2Dはイラストのデザインだが、3Dは写真撮影や建築という感じだ。


ちょっとやってみて、飛鳥時代の宮大工たちは超人なのではないかと思えてきた。


映画ができる日を目指して、コツコツ練習を重ねていこう。

近現代と学生

今日から営業塾・第8期が始まったのだが、部屋に入ると上村君と山岡君が「大東亜戦争とスターリンの謀略」の衝撃を語り合っていた。


二人とも、一日25時間、週に8日は一緒にいるくらい仲がいいので、私の聞いた部分はほんの一部かもしれないが、それにしても驚いたようだ。


おそらく、本という本の中で、あれほどショッキングな内容を持つ本はほとんどないのではないだろうか。


しばらくたって、今週見学に来るという竹内君が、「あれ、なんですか?」と驚いていた。


落ち着いて丁寧な竹内君もまた、びっくりたまげたようだ。


思わず、近現代史勉強会が始まった時の石橋君や、それを受け継いだ濱山君たちの表情を思い出した。


近現代の文献は、衝撃の度合いや希少性で選んでいるわけではないが、例年、共産主義の恐ろしさにはどの学生も背筋が凍る思いがするようだ。


文豪・堤君はどう感じたのだろうか。


歴史や文学に対して学生らしからぬ深い素養を持つだけに、感想が気になるところだ。


営業塾が終わって、長崎から戻ってきた池田君と会った。


池田君はまだ読んでなかったようだが、代わりに、以前から探していた「共産主義批判の常識」を手に入れたようで、なんと、全部を通読して、今が二回目だという。


しかも、「面白さが分かるようになった」と言っていた。


これは、すごいことだ。


チャーチルは「20歳までに共産主義にかぶれない者は情熱が足りぬ。20歳を過ぎても共産主義にかぶれている者は知能が足りぬ」と言ったが、私もそう思う。


ヨーロッパでは、共産主義を内から剔抉できるかどうかが、その人の知性を判別する一つの条件となったようだが、それも頷ける気がする。


私も大体、歴史や古典に対する素養、つまり国語力で相手と分かち合う話題の質を決めている。


学生とはざっくばらんに話すが。



東洋なら、主観と客観の問題は儒教や仏教で深く論じられているし、マルクス、レーニンの主張は道元、親鸞とは全く逆だ。


自己を客観視できるかどうかを判定するのに、仏教の経典は非常に有益だが、悪い素材を以て判定するのなら、共産主義の文献は非常に有益だ。


だから、「共産主義批判の常識」が面白いという学生を見ると、考えを共有できるという以上に、きちんと文字、文章を読めているのだなと感心する。


今日の池田君の話を聞いたら、原田君、増田君、大津君がどれだけ喜んだだろうか。


松下さん、諌山君、竹中君がどれだけ喜んだだろうか。



そもそも、私が職業教育を志した直接的原因は、父が仕事がうまくいかずに亡くなったからだ。


だから、「仕事」というものにとても興味があった。


また、歴史に興味を持ったのは、祖父母、父、叔母が相次いで早いうちに亡くなり、自分のルーツを知る手立てを失ってしまったからだ。


この喪失感は並大抵のものではなかった。


だから私は、一人で、父の生きていた時代のことを調べ始めた。


最初はそれが最も大きなきっかけだ。


学校の歴史など、どうでもよかった。


私はただ、父が生きた時代のことを知りたかった。



調べていくにつれ、父の生きた時代は「社会主義」が一つの大きなテーマだったことを感じないわけにはいかなかった。


子供の頃、父と叔父がいろいろと言い合っていたことも思い出した。


父が生きていたら語り合いたいことを、今、学生たちと語り合っている。


これはこれで、幸せなことだ。


歴史や就職、会計、営業、何を語っても全て人生と結びついてしまうのは、私が昔からそういう位置づけで勉強してきたからだ。


学んだからには結果を出さなければならない境遇でずっと生きてきたからだ。


唯物史観の研究から財務諸表や法人営業を説明するなんてアクロバットをやっているのは、日本で私以外にいないのではないかと思っている。


私は学校を出ないですぐに働いたから、実社会の経験から物を考え、後から理論を学んだ。


だから、自分の講義はサロンや論壇では語られない卑俗な現実の話が多い。


どんな話でも、一切専門用語を使わずに説明することができるようになったのは、ゼロから自分で全て学んできたからだと思う。


15年以上の遠回りは、思い返せば長い道のりだったが、最近は経験と独学が相乗効果をもたらしてきたことを如実に実感している。


あとは、当時の私より有能で熱心な学生たちが社会に出て、FUNやmpの学びの威力を証明してくれるだろう。


有望な教え子たちと有能な仲間に囲まれて、本当に幸せだ。


しかし、まだまだ全ては始まったばかり。


本当にやりたいことは、40歳くらいから始まる予定だ。


あと6、7年、しっかりと人材を育てていこう。

2009年5月14日木曜日

大月さんのPD動画

先月開催された大月さんのパネルディスカッション。


新卒起業という決意の裏にあった思いを知りたい人は、ぜひ見てほしい。




★「卒業、そして起業へ ~私の就職活動~」No.1



★「卒業、そして起業へ ~私の就職活動~」No.2



★「卒業、そして起業へ ~私の就職活動~」No.3



★「卒業、そして起業へ ~私の就職活動~」No.4



★「卒業、そして起業へ ~私の就職活動~」No.5



★「卒業、そして起業へ ~私の就職活動~」No.6

昨日の近現代

4年目を迎えた近現代史勉強会。


今年は2~4年生が揃っており、今月は「文献と丁寧に向き合おう」というテーマを掲げてやっている。


単位にも資格にもならない地味な勉強会だが、本物の学力を鍛えるには、こういう遠回りしかない。


いずれ、無意識のうちに読書力が高まっていることを実感するのではないだろうか。


さて、昨日は近現代ではおなじみの尾崎秀実が出てきた。


私はこの人物のことをかなり調べた経験がある。


敗戦直後に出された獄中手記も持っているし、評伝、関連資料もけっこう持っている。


私が知った歴史上の人物の中で、これほど不可解な人物はいない。


初めて知ったのは今の学生と変わらないくらいの年齢の時だったが、とにかく驚いたものだ。


なぜか。


それは、「負けるための戦争」を「聖戦」と偽装して祖国を裏切ったからだ。


そう言えば、私が働いていたマレーシアの国軍は10万人もいなかった。


自衛隊も20万人ほどだ。


それが、戦時中の帝国陸軍は、700万人もの軍人を抱えていたという。


もちろん、全員が正規の装備、正規の報酬ではなかっただろうが、単純比較だけでも気の遠くなるような数字だ。


これだけの軍隊の生活、進軍、物流、戦闘を支える国家の経済は、統制経済でなければやっていけないだろう。


その陸軍のうち、最精強の巨大部隊が、満洲の関東軍だった。


もちろん、ソ連に備えるためである。


それがどうしたことか、わが国は真珠湾とシンガポールを攻撃した。


シンガポールには海外勤務中に何度も行ったが、上陸するたびに、歴史のことをあれこれ考えたものだ。


シンガポールからジョホール、マラッカ、クラン…と北西に走る景色からは、世界一交通量が多いマラッカ海峡が一望できる。


博多湾や東京湾とは比べ物にならない光景だ。


この海域を支配できれば、巨大な勢力圏を築けただろう…などと思ってしまうほどだ。



さて、そんな旅情はよいとして、私が解せなかったのは、「日本が侵略目的で戦争を起こした」という歴史認識だった。


私は戦前、戦時中の日本人が聖人君子の集まりだとは思わないし、中には弱いものいじめが好きなひねくれ者もいただろうが、それにしても、どこをどう勉強しても、侵略という国策があったとは思えなかった。


それ以前に、戦後になっても戦争目的をめぐって議論が尽きないことが不思議だった。



東南アジアを支配して大東亜共栄圏を作るのが目的だったとは言っても、日本軍の戦略はかなり拙劣だ。


英米から植民地を解放するのが目的だったなら、それが果たされた昭和17年夏あたりで停戦していたはずだ。


戦争でも経営でもある行為には目的があって、それが果たされれば停戦、終戦、打ち止めにするのが普通だ。


それが、大東亜戦争はどうか。


敗戦に至るまで、客観的には停戦してもよさそうなタイミングはいくつかあったように見えるが、石油の備蓄が尽きても、ミッドウェーが落とされても、鉄がなくなっても、南太平洋や東南アジアを失っても、やめない。


植民地を解放しても戦争を続け、失っても戦争を続けた。


石油を確保しても停戦しなかったが、石油を失っても停戦しなかった。



日本人にも複雑怪奇に見えるこの戦争を、外国人が知った時に、「日本はどうしてあんな愚かな戦争をしたのか」と不思議がるのは当然だろう。


「愚かな」、「解せない」、「大変な」という評語は東欧やアフリカの人から少し聞いた。


それは、韓国人や中国人がわが国に優越感を持って言う場合の「愚か」とは違い、「道理では理解できない」という不可思議さの表明だった。


当時の私は、もちろん、何も答えられなかった。



要するに、戦時中のわが国は…。


英米に一撃を加えて有利な情勢に持ち込んでも、やめない。


東南アジアの植民地を解放しても、やめない。


資源を確保しても、やめない。


太平洋の拠点を奪われても、やめない。


植民地を失っても、やめない。


石油や鉄や弾薬が尽きても、やめない。


国内経済が疲弊しても、やめない。


沖縄に米軍が上陸しても、やめない。


原爆が一発落とされても、やめない。


国家を会社や個人に例えるのは規模も質も違いすぎるとは思うが、もし会社や個人で、こんなことをやる会社や人があれば、誰もその動機を知ることはできないだろう。


というより、破滅願望でもあるのではないか、と疑うはずだ。


敗戦後に戦争目的をめぐって議論が百出するのも当然だ、と思わずにはいられないほど、何のために戦争をしたのかがずっと分からなかった。


東南アジアの人が「日本」と聞いて連想するのは、ほとんどが自動車、家電、アニメ、そして戦争だ。


そして、日本の存在感は、我々が思っている以上に大きい。


世界で初めて、アルファベットを使わずに近代化した国家。


皇室の伝統を保ったまま、ハイテク工業で世界を席巻する国家。


奇想天外なアニメで世界中の子供たちを魅了する国家。


日本人の印象は「頭が良くお人よしで、ちょっとおっちょこちょい」というものだろうか。


だからこそ、そんな日本人が数十年前、どうにも理解できない戦争をしたのが不可解、という様子だった。


私もなるべく、友人の質問に答えてあげたかったのだが、こればかりは説明することができなかった。


私も日本人だから、祖先や祖国を否定するようなことを断言したくはなかったが、肯定できる理由もなかった。


さりとて、否定しきってしまうのは嫌だった。


勝ったら正しいとも言いたくないし、負ければ間違いだったとも言いたくない。


なんとももどかしい期間だった。


それが氷解した思いがしたのが、尾崎秀実の存在を知った時だった。


私は陰謀論や謀略論は嫌いだし、それだけで近現代史を片付けようなどというつもりは全くないが、それにしても、わが国の歴史からは社会主義の視点がすっぽり抜け落ちていることを感じずにはいられなかった。


マレーシアやタイでは、「共産ゲリラの脅威」は当時も現実のものだったし、どちらもイスラム教、仏教の信仰が篤いだけに、共産主義への嫌悪感は相当なものだった。


私が一般的な日本人には見えない心理が見えるようになったのは、一つは英語、韓国語、マレー語、インドネシア語を操れることにあるが、もう一つは、20歳で外国で働くという体験から、2年近くもどかしさを腹中にためこんでいたためだと思う。


とにかくもどかしい日々だった。


あの潜在的助走期間がなければ、帰国してむさぼるように歴史の本を買い、読みまくることはなかっただろう。


その尾崎秀実の本を、来週の近現代で今年も読む。


諌山君の理解力は大したものだ。


佐藤さんの洞察力も並外れている。


畑井さんの質問の着眼点は深く素直だし、四本さんの姿勢は誠実でおおらかだ。


みんな、一度では分からない本を何度も丁寧に読んでくれる。


私はその姿勢が、何より嬉しい。


来週の近現代はどうなるだろう。今からとても楽しみだ。


濱山君、松下さん、竹中君たちがこの光景を見たら、何よりの心の支えになるのではないだろうか。

脇山さんの講演録

昨日は赤坂で近現代史勉強会、天神でmai place「パワーアップセミナー②」が開催された。


私はもちろん、近現代に行ったが、動画編集は私の仕事だ。


さて、昨日の講師は、みんなが知っているイッツフォーマルの脇山さんだった。


講演を終えてベローチェで話した時、一緒に吉谷さんが来てくれて、とても懐かしかった。


吉谷さん、大月さん、脇山さん…。


2期生のこの三人と私だけのFUNゼミがあったことなどは、誰も想像さえできないのではないだろうか。


吉谷さんは相変わらずの様子で、取材や人と会うこと自体が楽しくて仕方ないようだった。


もっとも、何をしていても楽しそうで、本人は実はけっこう困っていることでも楽しそうで、そんな性格で得しているのか損しているのか分からない吉谷さんだが、この三人でしか出せない雰囲気があり、それが本当に懐かしかった。


次回③の講師は吉谷さんだそうだ。


テレビ局の仕事の話が、今からとても楽しみだ。


さてさて、昨日の脇山さんの話は…。


こちら。


それにしても、core i7、速すぎる…。


最近は毎回この話で、大月さんも「いい加減にしてくれ」と言わんばかりだが、大月さんも動画編集に慣れてくれば、必ずプロセッサの性能を考えるはずだ。


まぁ、そんな話は置いといて、脇山さんの温かく丁寧な話を聞いてほしい。


■「仕事と人生を楽しむ 私の小さな心がけ」No.1



■「仕事と人生を楽しむ 私の小さな心がけ」No.2



■「仕事と人生を楽しむ 私の小さな心がけ」No.3



■「仕事と人生を楽しむ 私の小さな心がけ」No.4



■「仕事と人生を楽しむ 私の小さな心がけ」No.5




■「仕事と人生を楽しむ 私の小さな心がけ」No.6




■「仕事と人生を楽しむ 私の小さな心がけ」No.7

2009年5月12日火曜日

吉田さんとPC談義

卒業生と仕事の話をするのは何にも代え難い喜びだ。


今日はPC商社に勤めている吉田さんと、PCについて語り合ってきた。


吉田さんと二人で話すのはおそらく就活中の模擬面接以来というくらい久しぶりで、こういう話題で話すのが改めて面白いと思った。


RAIDやサーバーの話から始まって、最後はフリーソフトの話題になったが、ここで、FUNの学生からもよく聞かれるサイトをいくつか紹介しておこう。


■「ネットブック買ったけど、ワード、エクセルがなくて困ってる」という人へ


SUN microsystemsといえばStanford University Networkの略で、どこぞのサークルのようだが、アメリカの学生ベンチャーが起こした世界的企業だ。


そこが最近無償配布している「Openoffice」というソフトがあって、ワード、エクセル、パワーポイント、アクセスなどMicrosoftのオフィスソフトと互換性のある機能が全て使える。


レポートや卒論をワードで作りたいが、officeを買うのは高い、という方は使ったらどうだろうか。


ちなみに、今年からFUN、mai placeのレジュメも全てこれで作っている。


Openoffice


■フリーフォントを活用してドキュメントに彩りを加えたい、という方へ


フリーフォントのサイトは無数にあるが、以下の二つは和文、欧文ともにかなり使えて助かる。


【モトヤフォント】


【フォントマニアッカーズ】



■その他、かゆいところに手が届くアプリケーション


エントリーシートで「字数計算」があるが、リクナビやマイナビでは「書きながら、消えてしまった」ということが起こるだろう。


そんな時は、先にメモ帳で作った後、ここで字数を計算してみてはどうだろうか。



また、チラシを作る人は、問い合わせでアドレスを入力させるのは申し訳ないと感じるだろうから、ここでQRコードを作るといいと思う。



■その他のソフト


You Tubeなどの動画はFLV形式で作られているが、これをDLして編集したいという人は、FLVではなくWMV,AVI,MPEG,MOVなどに変換する必要がある。


そんな時は、VDownloader 0.82を使ってみてはどうだろうか。


隈本さんに紹介したら、かなり気に入っているようだ。



また、デジカメで取り込んだ写真をきれいに編集したいが、フォトショップを買うのは高い、と思っている方は、GIMPだとフォトショップ並みの機能を無料で使うこともできる。



フリーソフトなら昔から「VECTOR」を使っているが、最近は併せて「アルテック」も使っている。



目的別なら、ベクターより探しやすいかも。


最後に…PC買い替え時に「コア」や「スレッディング」という概念がよく分からない人は、インテルのこの動画がけっこう分かりやすいのではないだろうか。


■intel core i7プロセッサ



私は最近、目下shadeの練習ばかりしている。


これで講義が作れたら、どれだけ画期的だろうか。


講義だけでなく、映画やドキュメンタリーも作れるかもしれない。


■shade10.5



私は先んじて全てのソフトに詳しくなり、その使い方を全ての若者に教えていきたい。


FUNやmpの理念を共有した若者たちが、ITや会計の素養も身につけていけば、日本最大のクリエーター集団ができるのも時間の問題だ。


「アジアを代表するメディア財閥」を作るというのが、19歳で中退した時からの夢だ。


その夢も、ずいぶん叶えやすくなったと思う。


今月から福岡のOB会では主に営業の勉強をしていくが、ITも不可欠だ。


吉田さんたち6期生の意欲は素晴らしい。


みんなで協力して、何か面白いことを仕掛けたいものだ。


PCについて語り合いながら、いろんなビジネスチャンスを考えることができた良い時間だった。

2009年5月5日火曜日

PC買い替え



こんな話題で盛り上がれるのは、増田君と脇山さんくらいだろうが、PCを4年ぶりに買い換えた。


容量は外付けHDDドライブを付け足して乗り越えたものの、動画編集、レンダリング、3D、イラストレータなどでCPUの処理速度が限界を迎えていた。


今回は以前より買い替えの目的が明確だったので、事前にドスパラで入念にスペックを調べ、低予算で買い換えられるよう、あれこれシミュレーションしてみた。


そして昨日買ったのが…





■CPU intel core i7
■メモリ 3G
■HDD 2.75TB
■NVIDIA GeForce 9600
■モニタ 24インチワイド



の新PCだ。


これだけをNECや富士通で揃えたら、30万円はするだろうが、BTO形式のため、半額以下で済んだ。


早速、Video StudioのレンダリングやYou Tubeのアップロード、デジカメのmpegデータのやり取りを試してみた。


レンダリングは、700MBの動画でpentium4の約4倍速い。


以前は夜中の1時にレンダリングを開始して、朝7時に終わっていたが、新PCは1時間半で終わった。


アップロードはADSL回線のためさほどスペックの向上の成果は見られないが、若干早くなった。


というよりも、数本をアップしながら他の作業に何の支障もない。


驚いたのはデジカメで、買い替えのために保存していた先日のFUNゼミのデータ、つまり①大月さんの「ビジネスモデル塾」、井上さん、吉田さん、大津君、鶴田君、森川君、築地さんのスピーチ、計2.2Gのmpegデータの取り込みだ。


以前は録画で電池を使い切ったら、取り込み前に新しい電池に替えなければ持たないほど、取り込みに時間がかかった。1時間くらいだっただろうか。


この時間が嫌で、新しく電池を買ったものだ。


それが、新PCでは他の重い作業をしながらだったのに、10分で終わった。


core i7はクアッドコアのハイパースレッディング、つまり論理8コアであるため、同時並行でいくつもの作業をスムーズに行えるのが利点だ。


この機能をフルに生かすため、本当はi7 965でNVIDIAのquadroが良かったのだが、この二つだけで10万円は超える。


私くらいの技術では、そこまで込み入った動画やグラフィックは作らないので、作業環境のスピード改善だけに特化して、スペックを決めた。


今年度はmpチャンネルを大幅にバージョンアップさせ、福岡から就活の世論を変えるきっかけを作りたい。


あと5ヶ月で500本、つまり月100本、週20本だ。


このPCなら、釣りに行きながら楽々完成させられるのは間違いない。


それにしても、数年前までは速度に驚いたpentium4で、けっこう助かってきたのに、技術革新とはすごいものだ。


もう絶対、pentiumには戻りたくない。


mai placeを知った学生が、以前の学生生活に戻りたくないと揃って口にするのも、こんな気持ちなのだろうか。


連休明けからは、HP、mpチャンネル、通販サイトの3つを拡充させよう。

2009年4月25日土曜日

it'sフォーマルPV

FUNではおなじみ、脇山さんの「イッツフォーマル」さんのPV。


脇山さんはPCやwebが好きで、そういう話題になることも多いが、なかなかゆっくり話す時間が取れない。


でも、着々と準備を進めているようで、今年は新たな動きもたくさんあるようだ。





お客様の一生の思い出を作る仕事。脇山さんにぴったりだと思う。


学生のみんなも、ぜひ相談してみてほしい。

2009年4月16日木曜日

mpチャンネル

とうとうできてしまった。

「就活はmpチャンネルから」というふうに、就活の常識を変えていこう。

mpチャンネル新サイト

2009年4月10日金曜日

ついに第⑦期「マネー塾」

FUNとmai placeの講座は数限りなくあるが、マネー塾ほどの人気とインパクトを持った講座は他にはないだろう。


マネー塾が分かってこそ、近現代史勉強会や読書合宿の意義も分かるのだが、学生としての到達点の一つの目標は、マネー塾だ。


大げさで単調で手っ取り早い案内が好きな学生のために、マネー塾の効用を伝えようと思えば、誇張や演出はいくらでもできるだろう。


だが、私はそんな告知は嫌いだ。


「マネー塾は勉強になるよ」


そんな素朴なことしか言えない。


私が「勉強になるよ」と言ってどれだけの説得力があるかが大事なのだ。


勉強になるとはどういうことかを、一人でも多くの学生に味わってほしい。


過去何人の学生たちが、マネー塾で自分に目覚めただろう。


マネー塾は確かにお金の勉強ではあるが、実はお金を通して物事や他人、社会、自分、仕事、人生との向き合い方を学ぶ講座だ。


さすがに鶴田君はわずか3ヶ月にして、mai placeの講座を「人生」塾と評してくれた。


お金は怖いものでも悪いものでもない。


知らないことや考えないことが怖いのだ。


私はどうして、こんなに大切で役立つことを、学校で教えないのかと不思議に思ってきたが、学校には無理だということが分かった。


しかし、生きていく上では絶対に欠かせないことだから、自分で講座を作った。


歴史用語を使わずに作れた最高の講座の一つだと思っている。


そのマネー塾にあまりに感動しすぎた学生たちの熱望から生まれたのが、近現代史勉強会だ。


マネー塾を開講したおかげで、FUNとmai placeの講座はどれだけ分野が広がっただろうか。


その過程には必死で食らいつく学生たちの姿があった。


感情の起伏に耐え抜いて強い自己を打ち立てた森川君、マネー塾に続く「経済思想ゼミ」の衝撃に耐え抜いた中村さん、強い反省力で自己改革を成し遂げた井上さん、内なる○楠と戦って勝利を収めた増田君…。


mai placeの講座を語るのは、マネー塾なしでは無理だろう。


就活コースも新人コースも、毎回新たな気持ちでワクワクして臨んでいるが、マネー塾だけはやはり意気込みが違う。


影響と効果が他の講座とは比較にならないため、毎回細心の注意も必要だが、毎回みんな期待以上の姿で応えてくれる。


原田君や諫山君、吉田さんたちはマネー塾に流れる深い思想を察して、就活後にもすごい成長を見せてくれた。


鶴田君の質問と成長の様子は本当にすごかった。


このように、マネー塾は私と学生の真剣勝負であり、同時に、学生が「自分自身」と戦う場でもある。


そのマネー塾の第7期まであと一週間。


今年は近現代を知らない学生も多いので、エクストラの講義を一回追加した。


「マネー塾プラスワン」とでも言ったところだろうか。



そんな講座だから、先輩たちもたくさんのメッセージを残してくれている。


ぜひ見てみてほしい。


■マネー塾PV
(S信託銀行の竹中君が制作)




■マネー塾PV②
(システム会社の大蔵さんが制作)




■マネー塾Live Guidance
(昨年末の第6期の様子)







■マネー塾メッセージ集
(初代mp4によるメッセージビデオ)





来週からの第7期が、今から本当に楽しみだ。

2009年4月7日火曜日

『mai placeで学んで』

学べるのは「就活対策」だけじゃない。
本物の学びは、内定の先にあった!

4年生specialプレゼン

『mai placeで学んで』

全8回 Complete Collection

①西南学院大学S・I



②西南学院大学S・M



③九州産業大学S・T



④九州大学T・T

『mai placeで学んで』(続き)

4年生specialプレゼン

『mai placeで学んで』(続き)


⑤中村学園大学H・N



⑥九州大学M・F



⑦九州大学K・M



⑧九州大学K・O

2009年4月5日日曜日

第19回「読書合宿」

竹中君の卒論は素晴らしい完成度だった。


年明け以降はゆっくり話し合う時間も満足に取れず、会えば就活コースの後輩たちの話や昔話ばかりになって、全て竹中君が企画して作り上げたものだが、洞察の深さといい、まとめ方といい、さすが六期生をまとめたリーダーの仕事だった。


ここで扱われているテーマは大きく二つある。


一つは二・二六事件、もう一つは東京裁判だ。


私は二・二六事件こそ、昭和史の悲劇の最高潮だと感じている。


背景も原因もあまりに複雑で、近代日本の歩みはあそこで限界を迎えたのではないだろうか。


昔から様々な立場の当事者の本を読んできたが、結論などいっこうに出ない。


というより、歴史に結論など求めようとする方がおかしいことをじきに悟ったが、それにしても、なんと悲しい事件だろうか。


血気にはやる青年将校たちの苦衷を知り、なおかつ政府の苦悩も知りながら、青年将校たちがいずれ「反乱軍」となることが分かっていても、笑顔でかつぎあげられ、あえて「逆賊」となって国家をまとめあげるような人物が現れていたら…


などと、西南戦争を学んだ後は何度思ったことだろう。


真崎も荒木も、そうはなれなかった。


二・二六事件と明治維新は七十年近くも離れているし、直接の因果関係を求めるつもりなどないが、二・二六事件も近代化の限界が一つの原因となったことを考えると、やはり、明治維新が必然的に内包していた国家的課題と同質の原因から起こったのではないかと思われる。


個人的な感想ではあるが、二・二六事件を学んでみて、私は改めて、西郷隆盛という人物の巨大さを感じた。


なんと巨大な器を持った偉人だったかと思う。


わが国は二・二六事件でできた体制のまま、大東亜戦争に突入し、未曾有の敗戦を味わった。


そして占領が始まり、そこで行なわれたのが東京裁判だ。


東京裁判といっても、一般の学生は、その名前すら知らないだろうし、知っていても、「A級戦犯」という用語がぼんやりと浮ぶくらいだろう。


私は、学生がそうした用語を知らないことよりも、それ以上に歴史そのものに何の愛着も関心もないという事実に、東京裁判の影響を見る。


東京裁判の直接的影響を受けた世代が「日本なんて大嫌い」と荒れ狂った学生運動の世代なら、私を含めた二代目、三代目の戦後世代は、「日本?別にどうなったっちゃ、いいんじゃないの?」という世代かもしれない。


とにかく、「ノンポリ」であるかどうかという以前に、興味も意欲も、基礎知識も前提条件の把握すらもほとんどない世代だと思う。


だが、「歴史?関係ないね」という世代に対しても、歴史の方は大いに関係しているのである。


「関係ないね」という反応自体が歴史の結果なのだ。


その証拠を知るのに適切だと思うのが江藤淳氏の著作なので、読書合宿では四月に江藤作品を読むことにしている。


今年も学生の反応はやはり、「知らないって怖い」というものだった。


素直で、誠実で、偽りのないものだった。


そして、パール判事のことを知った学生たちの反応も、「日本人なのに恥ずかしい」、「日本人なのに悔しい」というものだった。


私はこれで、十分だと思った。


今まではもしかして、「日本人だから恥かしい」、「日本人だから悔しい」だったかもしれないからだ。


「日本人なのに、日本のことを知らないなんて、恥ずかしいし悔しい」。


これこそ、自分が何者であり、何者であるべきかを感じた、何より素直な告白ではないだろうか。


思い返せば、近現代史勉強会や読書合宿に初めて参加した時の竹中君、森川君の感想も、まったく同じものだった。


そして二人は、その思いに執着し続けた。


もちろん、他の四年生も同じ気持ちで学び続けた。


その先輩たちの姿から学んだ後輩たちが、今、四年生となって、就活中でありながら、読書合宿に参加している。


この間わずか一ヶ月ほどだが、これも歴史だ。


こんなことをあと数十年頑張れば、福岡から将来の歴史を変える人材がきっと、生まれてくるだろう。


そのためにも、みんなには、ぜひ、トップ営業マン、エリート社員、大実業家、大金持ち、敏腕投資家になってほしい。


そして、「歴史を学んだ者」の姿を天下に示してほしい。


読書合宿と近現代史勉強会に比べれば、FUNとmai placeの他の講座は、すべて「おまけ」のようなものだ。


なぜなら、あらゆる講座は歴史の学びを原点として作っているからだ。


実際の実務でも圧倒的に活躍してほしいが、その時のモチベーションの源泉は、愛国心でなければならない。


達しても慢心せず、屈しても諦めないためには、巨大な偉人の姿や、先人の苦悩を、若いうちに学んでおかねばならない。


今日のみんなの感想は感動的だった。


楊君のグループワークでのコメントは本当に素晴らしかった。


今年もきっと、去年以上の読書合宿が実現できるはずだ。

2009年4月2日木曜日

面接前だからこそ見ておきたい動画

さて、順序が逆になってしまったが、次は「内定者プレゼン」の①~⑥をまとめて掲載しよう。


ここでは「4年生」だが、今日からみんなも社会人だ。


新4年生のみんな、先輩に続こう!



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mai place就活コース2010

《4年生プレゼン》
~私の面接、決め手はコレだった!~

全12回 Complete Collection(①~⑥)
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①信託銀行(九州大学H・T)




②コンサルティング(九州大学K・M)




③IT(西南学院大学S・M)



④人材(西南学院大学S・I)



⑤旅行(中村学園大学H・N)



⑥出版(西南学院大学N・H)

2009年4月1日水曜日

今だからゆっくり見たい動画集

新4年生の皆さんは、今になって、先輩たちが「将来のあなた」を思って語ってくれていたのがしみじみと分かるのではないだろうか。



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mai place就活コース2010

  《4年生プレゼン》
  ~私の面接、決め手はコレだった!~

12回 Comlete Collection (⑦~⑫)
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⑦医療人材(西南学院大学K・N)



⑧新聞社(福岡大学E・M)



⑨鉄鋼メーカー(九州大学K・O)



⑩旅行(福岡女子大学Y・M)



⑪金融(九州大学T・T)



⑫食品メーカー(西南学院大学A・H)

2009年3月31日火曜日

shade10.5

2、3年前から、西新商店街を通るたびに、隈本さんと「プラモ作りたい」とつぶやいてきた。


私は聯合艦隊、隈本さんはバルチック艦隊で、二人で日本海海戦をやろう、という他愛もない話だ。


しかしそれは実らず、いつの間にか、二人で海釣りに行くようになっていた。


幻の「FUNプラモ塾」。


開けばおそらく、歴代最少人数になるのは間違いない。


しかしまぁ、モノを表現し、作るのは楽しいことだ。


私は昔から文章による表現は好きで仕事にもかなり役立っているが、それとは別に、絵を描くのも図画工作も好きだ。


去年も久しぶりに「田宮模型の仕事」(文春文庫)を読んで、プラモ熱が再び高まってきたところだった。


しかし、なかなかそのゆとりがない。


小さい頃は手が届かなかったプラモデルも、今では小遣い感覚でいくつでも買える。


今作ったら、きっと楽しいだろう…。


と思いながらも、今年もまだ作っていない。


その代わりに、去年の秋からは動画にはまり、年明けにCorel Video Studioを買った。このソフトは、ほとんど覚えてしまった。


色々作っていると、動画だけでは表現の制約があることを感じ始めたのは、先月のことだ。


もっと迫力のある内容を分かりやすく表現してみたい。


そこで興味を持ったのが、3DCGソフトだった。


知っている人がどれくらいいるか分からないが、「R-TYPE」のようなCGが作れたら、広告宣伝や教材作りにどれだけ役立つだろうか。








少しずつ時間をかけて慣れていけば、私にもきっと面白い作品が作れるに違いない。


ということで、今日やっと時間が空いたので、この分野ではよく知られた「Shade10.5」を買いに行ってきた。


この箱を見てほしい。






ちょっと、レジに行くのを戸惑ってしまった。


パンフレットにはJAXAの人の体験談が載っている。


宇宙開発事業団の人は、宇宙空間での作業を説明して予算を確保すべく、説明支援ツールとして初めてshadeに親しみ、自分でも覚えたいと家電販売店に行ったら、このソフトは実は「デジタルビューティ(PC上の美女)」マニアに非常に人気があることを知って、面食らったそうだ。


私も、業界説明や会計的視点の説明、あるいはmai placeのロゴや業務説明のためにCGを使おうと思って買いに行くと、箱には「hanako」というキャラクターがドドンと載っている。


しかも、今は「Poser」のキャンペーン期間中らしく、「Hanako アンロックデータ集」という素材集が無料で付いていた。


それを空けてびっくり…。


水着のお姉さんが色んなポーズを取って動き回る動画だった。


要は、shadeはこれくらいすごいのだというPVなのだが、ちょっと驚いてしまった。


建築士や設計事務所の人がこのソフトを買う時も、同じようにびっくりするのだろう。


業務用で買って、このソフトを知らない社長が箱を見つけたら、きっと、成人向けソフトと勘違いするだろう。


まぁ、そんなこんなで先ほどインストールしたところだ。


これから気長に練習していこう。


そして、来年の就活コースやmpチャンネルでは、3DCGを使って迫力ある演出や講義ができればと思う。




mp就活コース『感謝の集い』

もう既に懐かしくなりつつあるが、先月の「感謝の集い」の先輩スピーチの動画だ。


三年生の皆さんは、今だから分かることもあると思うので、ゆっくり見てほしい。



■mai place就活コース2010
「感謝の集い」(前編)







■mai place就活コース2010
「感謝の集い」(後編)



mp5

第6期生が卒業して、FUNも新しい体制で動き始めた。


永井君が良きお兄さん役となってみんなを引っ張ってくれており、本当に頼もしい。


同期の竹中君・森川君・築地さんたちの姿を見て、卒業式では感無量の思いがあったのだろう。


同じバイト先の末田君も、オーストラリアに留学してしまい、留守を預かる永井君と富田君は、全体を盛り上げていこうと並々ならぬ決意だ。


今でこそ卒業直後で規模はやや小さくなったが、今年の学生たちも、きっと、去年以上のサークルを作って後輩たちへの贈り物にしてくれるだろう。


榎本さんの新入部員スピーチも素晴らしかった。


近年は、入部する学生の意識がとても高く、部員たちにも初心を思い出させる良い刺激となっているようだ。


みんなで温かく歓迎していたら、すぐに追い抜かれそうなほど、榎本さんの決意は爽やかで潔かった。


また、山岡君の5分プレゼンも熱い気持ちを伝えてくれ、鶴田君がまた涙もろくなってしまうのではないかと思うほどだった。


心を込めて発した寸言が後輩に響き、その思いが受け継がれて、少しずつ伝統を築いていく。


この様子を見つめて毎週毎週学生たちに接するのが、今では何にも代え難い生き甲斐だ。



さて、そんなFUNから生まれたmai placeも、このたび、新体制で動き始めた。


初代学生スタッフ「mp4」を引き継いで、さらにmpを盛り上げるべく一致団結して頑張っているのは、「mp5」の5人だ。


これがまた、毎日同棲状態なのではないかと思うほど、みんな仲が良い。


住んでいる場所もmp4よりさらに離れているのに、まるで幼馴染みのように親しんでおり、こちらは、堤君がお兄さん役のような雰囲気だ。


こんなに貫禄がある学生は、安田君、隈本さん以来見たことがなく、みんなからそのキャラクターを愛されて、今では「つっつー」という名前が定着してしまった。


あだ名はこのようにかわいいが、堤君は今日も新たに「文豪」というあだ名が付いたほど、博識で洞察が深い。


私はむしろ、見た目以上に、話題に驚きを感じた。


大学3年生で小林秀雄、福田恒存、江藤淳を知っていて、なおかつ愛読している学生というのは、安田君以外会ったことがない。


剣士でもある堤君は武道と日本の精神を愛し、今日の模擬面接でも、「日本人の死生観」という言葉が出てきた。


また、そうした言葉が似合う。


実にすごい学生だ。


佐竹さんが「学生じゃない」と言っていたのも分かる気がする。


リーダーシップがあって人望が厚い上村君、素直でいつも仲間を優先する池田君、場をなごませることに命をかけている川良君、そして、人を喜ばせるためには徹夜してでも約束を守り、反省力の強い山岡君、まるで明治の学生のような堤君…。


この5人の結束があるのも、先代mp4のみんなが素晴らしい団結と協力を姿で示してくれたからだ。


竹中君、森川君、増田君、諌山君の連繋と助け合いはすごかった。


今のmpがあるのは、この四人のおかげさまだ。


四人の願いを受け継ぎ、さらに充実した事業基盤を、mp5のみんなと一緒に、大月さんを盛り上げることで、築き上げていきたい。


新HPはいよいよ明日、リニューアルオープンだ。


日本中にその名をとどろかせる職業教育のベンチャーとして、注目されないうちから、立ち返るべき伝説を築いていこう。

2009年3月27日金曜日

パネル(なし)ディスカッション

最近は動画、動画、また動画で、Video Studioの残像が夢に出てきそうだ。


昔から集中すると時間を忘れるが、そろそろ休憩を練習しないと体が持たない。


昼寝や延期が昔から苦手なので、どうやったら適度な休みを取れるか分からない。


しかし、もうすぐ釣りシーズンなので、週に3~4回行って、自然に学ぼうと思っている。


昨日は鶴田君とゆっくり話すことができて、本当に楽しかった。


いつも「一つ質問があるんですけど」と言いながら、実は3つ、4つ、5つ…と続くのも今ではおなじみだ。


もし同じ年齢で出会っていたら、私が尊敬する友人になっていただろう。


しかし、10歳違っていても、素晴らしい友人だと思っている。


上京まであと三日という忙しい時期にゆっくり話すことができて、本当にありがたいことだ。


昨日はその後、就活コース⑱で、一年ぶりの「パネルディスカッション」をした。


といっても、今年も「パネルなし」だ。


テーマは6年前の再現である「就活で成功する人しない人、その差はどこから?」だった。


学生はおそらく、一番興味があるテーマだろう。


学生は手っ取り早くて分かりやすい話題が好きだ。


本当は、そういう素朴なことほど、とっつきにくくて地味で時間もかかるのだが、私は説教はしたくない。


まだ何かを教えるほど落ち着いた年でもないと思っている。


私も私で、価値ある目標に挑戦している。


私はその途上の経験なら教えられるが、いつも保ちたいスタンスは、「ともに学ぶ」ということだ。


私は新しいことは何も教えられない。


ただ、学生も既に経験したことがある事柄を、もう一度新しく見つめてみようではないか、と呼びかけているだけだ。


mp4を引き継いだmp5が質問者で、昨日は川良君が選考でいなかったが、みんながうまくチームワークを保って上手に問いかけてくれたため、初回ながらうまく運んだ。


池田君はまたもや、「面接より緊張した」と言っていた。


なにせ、鼎談に聴衆がいるのである。


ビデオカメラこそ回っていないが、形式はトーク番組と全く同じだ。


GDでも面接でもない、自己表現の機会。


学生のみんなも、ディスカッションの内容とはまた別に、新たな試みで何かを学べたのではないだろうか。


こういうディスカッションは何回か行い、まとめてCD化して、就活コース参加者全員に配ろうと思っている。


そして、できれば1,000枚くらい、福岡都市圏の学生にばらまきたいとも考えている。


昨日も夜中までタリーズで会議をしたが、みんな「ヤフードームで就活コースをしよう!」と言っていた。


本当に頼もしい若者たちだ。


mp4もそうだったが、mp5のみんなと話していると、本当にそれができそうだと思えてくる。


私もまた、学生に「この人といると何かができそうだ」と思ってもらえるよう、努力を続けなければならない。


学生の成長は本当に速い。一週間たったらもう別人だ。


また、昨日は就活コース後の「エクストラ」で、村上さんと地場企業を色々探したのだが、久しぶりに記者の経験が生きて楽しかった。


「3年生プレゼン」も村上さんらしくふんわりしていて、品格と優しさがあって、全体を包み込むような素晴らしいプレゼンだった。


車に込めた思いの裏には、色々と複雑なものもあるのだろうと感じたが、村上さんなら、車に馴染みのないお客さんでも安心して買えるだろう。


そして、原さんと提携して車と保険をガンガン売りそうだ。


それにしても、昨日は数年ぶりにアパレルや和菓子の話題に触れたが、その横で東京裁判の本を開いている自分に、改めて私という人間の時代錯誤ぶりを実感した。


およそ6歳くらいの頃からそうだったので、もうほとんど自覚はないが、これからは心掛けて若者の話題を勉強しないとついていけない。


ヴィッツのパンフレットで「りんか」と言っていたが、それは人の名前らしかった。


私はスペイン人か誰かと思っていたが、どうやら日本人らしかった。


オヤジ扱いされるのが嫌だったので黙って過ごしたが、実は案外、最近は知らない固有名詞を聞くことが多い。


マルクス、エンゲルス、レーニンを語れた原田君が懐かしいし、磯部浅一や新井勲と言って通じる竹中君が懐かしい。


…といっても、まだ二人とも福岡にいるのだが。


できることならマンガを読んで、森川君と語り合いたかった。


中江君と一緒に古本屋を巡りたかった。 ドトールに行くと、中江君がいないかと窓の辺りを見てしまう。


諌山君ともう一度、釣りに行きたかった。


中村君の大学の話を聞きたかった。


他にも、もっと多くの学生のことを知りたかった。


見送りの頃が近付くと、その時になって初めて、あまりにも基本的なことを知らなかったことに気付く。


もし私が今でも経営者相手に働いていたら、自己認識はさらに年老いたものとなっていたかもしれない。


学生のおかげで発見できた自分は多い。


若い友人を持つのは素晴らしいことだ。



最後に、今日はオペラ風とカルメン風のQUEENの曲を二曲。どちらも中学時代のお気に入りだ。


QUEEN "It's A Hard Life"




QUEEN "Innuendo"

2009年3月25日水曜日

FUN第6期生卒業

今年のFUN卒業式もまた、とても印象に残るものだった。


先日、3月に2週間にわたって行なわれた「卒業生プレゼン」と、卒業式、近現代史勉強会プレゼン大会の「書評編」、「プレゼン編」の動画を5本作り終えた。


2時間近くの作品が5本だから、なかなかのものだ。


4月、5月にかけて全卒業生と学生に配布し、縦と横の時差を埋め、全体を思いやりで満たしたいと思う。


大型の動画の編集を終え、PCのHDが久しぶりに軽くなった今日、鶴田君からメールが来た。


鶴田君との出会いは、今年度最も印象深かった出会いの一つだ。


FUNやmai placeの人なら誰でも知っているが、鶴田君がここで勉強し始めたのは、年末のことだ。


爽やかで、熱くて、向上心溢れる好青年で、その活動、勉強への意欲は明治時代の青年もこうだったのだろうと思わせるほど立派なもので、私も姿勢が正されるほどだった。


読書への熱意と本を買うスピードもすごく、なんと、3ヶ月で120冊の本を買ったという。


もちろん、全てを学生時代に読んだわけではなく、大半は東京に持っていって、社会人になってから読むものだそうだが、学生時代の志を貫いて働く鶴田君の姿が、今からとても楽しみだ。


鶴田君がいつかのグループワークで、「オレは、忘れられる先輩にはなりたくない」と言っていたのが聞こえてきたことを思い出す。


私はひそかに、「そんなこと、あるわけない」と思った。


活動期間は、確かに短かったかもしれないが、大事なのはどれだけ集中したかで、どれだけ長くいたかではない。


それに、FUNやmpは、4年生になってから知る人が毎年一番多い。


中には、「4年生からでは、もう遅い」と考えて、意欲を失う人もいる。


しかし、鶴田君は4年生の冬にやってきて、みんなを追い越して、逆にみんなを勇気付ける存在に成長した。


自身が卒業式で「最高の3ヶ月でした!」と言い切った貴重な経験は、これから未来の後輩を、どれだけ励ますことだろう。


私はその事実を、いつまでも未来の後輩に語りたいと思う。


創設者の安田君にも、そういうことをかいつまんで話したら、「本当にすごい」と感動していた。


安田君も予備校を経て、人一倍学生時代に奮闘し、4年からサークルを作ったので、共感できるものが多かったのだろう。


読書欲、向上心、仲間への思いやり、活動への熱意など、鶴田君の姿は、6年前の安田君の姿を思い出させるものだった。


その鶴田君が、昨日、大学の卒業式を終えたそうだ。


最高の学生生活だったことだろう。心から祝福したい。


今度は最高の仕事ぶりで、日本の農林水産業者の方々を励まし、盛り上げていってほしいと切に願うばかりだ。


さて、卒業式のOBメッセージで使ったBGMを二曲紹介しておこう。



Ann Wilson&Mike Reno
"Almost Paradise"






映画「フットルース」といっても、今の学生はほとんど知らないだろうが、歌詞がFUNの学生を祝福するのにぴったりなので、選んだ。


歌詞は学生なら聴き取れると思うし、卒業式にもぴったりだと思う。


Loverboy "Heaven in your eyes"





こちらはフットルースより有名な「トップガン」から。私が中学生時代によく聴いた曲だ。


先ほどのMike Renoは、このLoverboyのボーカルなのだが、これも、誰も知らないだろう。


この動画ではちょっと太っているが、実は、熱い歌が多いグループだ。


第6期のみんなと過ごせた日々は、人生の宝物だ。


100年に一度と呼ばれる絶好の時期に入社できるみんなの活躍が楽しみだ。


みんな、卒業おめでとう。

2009年3月24日火曜日

講義と音楽

動画のエンベッドができないので、慣れ親しんだ「職の精神史」から引っ越してきた。


このブログでは、主にmai placeの仕事を中心に、様々な話題について、思うままに日記を書いていきたい。


6年間、おびただしい数の講義を作ってきた私だが、作る時に何かの種本を見ているわけではない。


ほとんどはインスピレーションに頼って一気に集中して書き上げる。


岡潔博士風に言うと、「情緒の流れ」のようなものがほとばしっているうちに書き上げ、学生たちが聞いている様子を想像しながら、推敲を繰り返すのだ。


こういう作業方法だから、私の中でレジュメ執筆の際に参考になっているのは、何かの資料というよりは、むしろ音楽の方だと言ってよい。


ミュージカルやクラシックなどの、何度聴いても飽きない曲は、レジュメ執筆の際にもとても得るところが多い。


私は、講義とは、論理性や一貫性も大事だが、エンターテインメント性も大切だと思っている。


いかに栄養がある食事だろうが、おいしく、楽しく食べなければ本当の味わいは得られない。


分かりやすさと質の高さを両立させ、面白さと深さを両立させるのが、どの講義にも共通する条件だ。


だから、作業の合間には、昔住んでいた東南アジアでよく聴いた曲を聴く。


私にとって、ちょうど大学3、4年に相当する時期といえば、海外勤務とアジア周遊をしていた頃だから、聴くと昔を思い返すことができて、とても懐かしいからだ。


私の講義も、東南アジアの料理のように、ピリッと辛い香辛料を入れつつも、下地は優しさや思いやりで味付けをしたいと思っている。


■Sheila Majid "Lagenda"





マレーシアの国民的歌手、といってももうおばちゃんになってしまった。


彼女は幼い頃から歌手を目指していたが、なんと、音痴だったという。


何度もコンテストに応募するも、なかなか日が当たることはなかった。


悔しくて悔しくて、アメリカで声楽を習って、やっと日の当たる時が来た。


クアラルンプールで私が住んでいた場所は、「マレーシアのビバリーヒルズ」と呼ばれるBangsar地区で、有名人がたくさん住んでいた。


そこのショッピングモールで、人だかりができていた。


シーラ・マジッドが買い物に着ていたのだ。


■Nanthida "Pahn Nee"





タイには8回行ったが、アルバムを何枚買っただろうか。


もっとも、あの頃はタイではカセットテープが主流で、数年後にYou Tubeのようなものが生まれるとは想像もしなかったが。


タイ音楽は、Gotの風刺ソングも好きだが、ナンティダやスナーリー・ラチャシマーのような伝統音楽を生かしたポップスも好きだ。


それにしても、タイ、フィリピン、インド、韓国、香港、台湾、インドネシアなど、私の家には色々な国の音楽があるが、現地語で歌っている中にいきなり英語が現れると、かなり奇妙だ。


日本のポップスも、そのように聴かれているのだろうか。


私は講義のレジュメでも、基本的に、そうする必要がない場所以外は、全て国語で書くことにしている。
歴史や古典に関する講義は、国語らしく縦書きだ。


ワードの縦書き機能なんて、学生はほとんど使ったこともないだろうが、案外、そういうことにもこだわっている。


さて、今週からのFUNゼミは「報道塾」だ。


また、作曲のようにレジュメを書いていこう。